01 「ファースの家」認定モデルとは
「ファースの家」 は、天井裏の空気が床下に流れ、床下が正圧(押し出す力)、天井裏が負圧(吸い込む力)になることで、床下の空気が屋根裏に向かって動いて家中を循環しています。
この循環は、空気のもつ自然法則、
温まると上昇 ▲
冷えると下降 ▼
を利用しているため、放っておいても壁内の空気はうごきます(当社の構造の場合)。
そこに、少しだけ補助をしてあげることで、壁内の環境はより良くなります。
この、自然を補助してあげる機器を設置した家が、
「ファースの家」
と呼ばれます。
下の図をご覧ください。
特にご覧いただきたいポイントは赤い丸で囲まれた4箇所です。
天井裏にある「熱交換式換気扇」「サイクルファン」「高機能エアコン」
床下にある「調湿剤 ファースシリカ」
02 換気扇やエアコン、調湿剤は何をしているの?
ファースの家は
自然法則で動く空気を機器を使って少しだけ補助してあげて、家の長寿命化を確実にする
という考え方で開発されました。
通常、家は新築時に最高の性能を持ち、数年で性能は落ちてしまいます。
ファースの家は、新築時に期待された性能 をいかに長期にわたって維持するかを重視しています。
03 天井裏にある「秘密の仕組み」
「熱交換式換気扇」により、外気を天井裏から室温に近づけて取り入れ、「サイクルファン」によって床下まで送ります。
床下に空気を送り込む際に生じた気圧差によって、壁内通気層を通じて空気が上昇します。壁内通気層の空気は、レジスターを通じて室内も通り、天井裏に戻ります。この空気が24 時間流れており、室内・壁内をクリーンな状態に保ちます。
「ファースの家」では、天井裏に設置した「高機能エアコン」(壁掛けタイプ)による輻射熱冷暖房を行います。
夏場は、エアコンルーバーを水平にして冷風を吹き出し、天井裏の温度を冷やすことで下降する冷気によって下階の温度を下げます。冬場は、エアコンルーバーを下方にしてミキシングホッパーの口に温風を吹き出し、「サイクルファン」によって床下まで暖気を送り込み、1階床下を暖めることで床面からの輻射熱によって、室内温度を上昇させます。
床下温度がほぼ一定の暖かさになるため、方位や間仕切りを問わず、玄関・居間・キッチン・トイレ・脱衣場など全ての部屋が温度差の少ない暖房空間となります。
04 床下にも「秘密」が
床下に敷設された自然素材の空気清浄調湿剤「ファースシリカ」は、ホルムアルデヒドやタバコの臭い、有機系ガスの汚染物質を吸着し、シックハウスなどの問題を低減します。さらに空気中の湿気が高い時に居は水分を貯め込み、乾燥時には排出する調湿力があります。
季節に関係なく、適度にうるおいのある快適な状態を保つようにし、家がジメジメしないことで、構造体の腐食を防ぎます。
05 快適な冷房空間
冷房からの風が体に直接あたると、痛みを感じることがありますよね?
「ファースの家」は冷気を直接身体に当てない冷房空間をつくります。
天井裏に高機能エアコンを設置し、夏場はエアコンルーバーを水平にして、冷風を吹き出します。
天井裏を冷やすことによって、
屋根からの輻射熱と循環空気の温度を下げ
下階の温度を快適なレベルに下げることができます。
また、エアコンの機能とファース専用部材により、湿気に含まれる熱量(潜熱)を除去して、調湿・空気循環できる仕組みを作ります。
体感温度が下がるので、室温をあまり下げずに冷房が可能となり、エネルギー使用量を節約します。
※快適な温度の感じ方には個人差があります。
※天井裏エアコン+リビングへのエアコン設置を推奨し、季節に応じた効率の良い冷房運転をご提案しています。
07 欠点はないの?
ファースの家も良いことばかりではありません。
欠点も知っていただき、FASの家を好きになってください。
ファースの家は、家屋内の高い気密性能を得るため、グラスウールより硬い断熱材を使用しています。
その影響として、家屋内反響音が大きくなります。
反響音の感じ方は人によってちがうため、気にならない方もいらっしゃいます。
一度オープンハウスなどでご体感いただくことをおすすめいたします。
その他、空気循環装置などの稼動電力料に加えメンテナンス費用が必要です。当社では、他工法で建築された場合に長期的に必要となってくる改装・修繕費用などと比較した資料をご用意しております。
少し難しいファースの家の成り立ちのお話
ここから、ファースの家はなぜこの構造にたどりついたのか、 当社 「全身呼吸構造の家」の元ともなっている 「ファースの家」の成り立ちとともにお話ししたいと思います。
08 世界トップレベル“だった”日本の住宅文化
昔の日本は、世界に誇れる長寿命住宅文化を持っていました。
ところが高度成長期の急ピッチな建設ラッシュと、間違った「快適性能追求」により、その文化を失ってしまいました。
ファースの家はその文化をもう一度取り戻し、世界に誇ることができる家づくりをとの思いから開発されました。
茅葺屋根の家が900年も住み継がれたのは、結露やカビの問題がなかったから。
家の寿命に対しては合理的思想に基づいた茅葺き屋根の家ですが、一方で「寒くても仕方がない」、快適性能は不要という意識があったためです。
冬寒くて、夏は暑い家、それが当たり前だと考えられてきました。
でも、いつまでも我慢ができないのがヒトでもあります。
そこで、「室内の暖めた空気を無駄にしない」という発想から、
断熱材をたくさん使う高断熱住宅
が誕生します。
09 断熱材への誤解
断熱材は「熱を断っているもの」と思われていますが、実はこれは誤解です。
本来の働きは、「熱を吸収して反対側へ伝えるのを遅くすること」。
また、「蓄熱体」として熱をため込んでしまう性質もあります。
夏、夜なのに外のほうが涼しいとき、ありますよね?
あれは昼の間に温められた壁の熱がじわじわと部屋に近づき、夜になって室内に放出されることが原因でおこります。
冬は冬で、どんなに分厚い断熱をしても、壁がジリジリと冷やされて部屋の中が寒くなり、いつか内外の温度は同じになります。
こんな熱の性質が、夏も冬も結露の原因になります。
従来の柱と柱の間に断熱材を施工する方法では、断熱材のない柱部分が(木材には断熱効果はありません)、例えば一面が外壁の冷気にその逆が内壁の暖気に触れ橋渡しの役割をする、熱橋がおこります。(複雑ですが大切なので、ご希望の方には当社で模型で説明します。ご相談ください)
これが壁の中に温度差を生み出し、家にとって有害な壁体内結露を起こします。
10 外断熱(外張り断熱)の欠点
断熱材ですっぽりと家を包んでしまうという外断熱。
その欠点は、気密の高さが災いして室内で発生した湿気がこもってしまうという点です。逃げ場のない水蒸気はカビの原因になります。
以前は正しい施工を行わないと外壁が落ちてくるというトラブルも話題になりましたが、いまではそちらの問題は部材の進歩とともに解消されたと考えています。
11 調湿した空気を壁体内・室内へ
ファースの家はそれら断熱に伴うトラブルを解決するため、様々な工夫をこらしています。
まず、換気システムで新鮮な空気を小屋裏に取り入れ、その空気を床下に送ります。
床下にはお菓子など食品 の乾燥剤にも使用しているシリカゲルをファース工法用に処方した「ファースシリカ」が敷いてあり、空気を清浄します。
「ファースシリカ」は、湿気を吸放湿するほか、空気中のホルムアルデヒドなどの化学物質や、タバコの臭 い、その他の有機ガスなどの汚染物質を吸着し、空気をきれいにする効果もあります。 こうして、快適できれいになった空気を家中に循環させます。
壁体内も含め、家中の温度差が軽減し、構造が常に流動する新鮮な空気に触れるため、カビや腐朽菌が発生することなくひとも家も快適に、健康にくらすことができるんです。